日本の民間救急事情

米国と違い日本には「民間救急」という職種は存在しませんでした。消防庁より、「民間救急」という名称は「市民に対し『救急業務を行う民間業者』と誤解され混乱を生じる恐れがある」として規制されてきたからです。

ところが、平成16年10月1日から消防庁自ら一転して「民間救急」という言葉を公のものとし、民間救急制度の導入を開始しました。

民間救急制度導入の背景

民間救急制度の導入は、消防庁の財政難と救急活動への支障がおもな理由とされています。

東京都は、2002年の東京消防庁の事業コストを試算した報告書を公表しました。それによると、救急業務の年間支出は約285億5200万円、救急出動1回あたりのコストは約45,000円。また、年間救急出動回数は約63万件、つまり48秒に1回の割合で出動している状態としています。

救急出動はここ数年毎年約3万件ずつ増えており、すべての需要に無償で対応する現在の救急制度には限界が達しているとし、抜本的な見直しを始めたのです。さらに、緊急性の低い救急出動やタクシー代わりに救急車を利用するような状況がこのまま増え続ければ、民間患者等搬送事業者(民間救急サービス事業者)への委託に続いて、救急業務そのものも有料化する可能性がでてくるかもしれないともいっています。

もちろん、この救急出動件数の増加は救急車の不足にもつながり、本当に救急車が必要な緊急度の高い患者でさえ、救急車を利用できなくなる恐れがあるのです。

救急車の利用法を皆で考える時期がきているのではないでしょうか。