【都道府県に要請】全民救の要望実る(東京交通新聞 2016年4月11日掲載)

2016年4月11日 東京交通新聞

消防庁・厚労省 転院搬送民間活用を【都道府県に要請】全民救の要望実る

総務省消防庁と厚生労働省は、緊急性の乏しい病院間の「転院搬送」について、消防救急車を使わず、消防機関が認定する患者等搬送事業者などを活用するよう3月31日付文書で都道府県に要請した。

民間の医療搬送サービス事業者でつくる一般社団人全民救患者搬送協会(本部・神奈川県小田原市、野口良一会長)が高市早苗勉総務相、山口最丈消防庁救急企画室長に陳情していたが、要望が実り歓迎してる。緊急性のない傷病者の移動については民間救急ービスの積極活用が図られる方向だ。

消防庁の「救急業務のあり方に関する検討会」(座長=山本保博・東和病院院長)が3月29日、「救急車の適正利用の推進」方針を盛り込んだ報告書を取りまとめ公表した。これを受け、消防庁次長と厚労省医政局長の連名で転院搬送の要文が都道府県知事宛てに出された。

それによると消防救急車の転院搬送件数は高い水準で推移し、2013年は約50万件で全搬送件数の8.3%を占めた。昨年6月には全国消防長会から適正化の要望もあった。このため消防庁と厚労省が転院搬送の救急車の適正利用に関るガイドラインを作成し関係者が合意の上で対応することになった。

救急業務のあり方報告書は、救急車以外の搬送資源として「消防機関が認定する患者等搬送事業者や、医療機関が保有する患者等搬送車(病院救急車)が挙られ、緊急性のない傷病者の移動や転院搬送に活用されることが期待される」とうたっている。今回、転院搬送で民間活用を促す要請をしたが、消防庁では「都道府県・市町村が要請していく過程で、緊急性のない傷病者の移動について民間救急サービスなどを有効利用する考え方も伝達されよう」とみている。

陳情活動をしてきた全民救では、従来の「民間患者等搬送事業」を脱却。単なる「福祉輸送」と区別し、「医療搬送」の法的整備が進むことを求めている。

2016年4月11日 東京交通新聞より