東京交通新聞、東日本大震災特集に本協会が掲載されました。

転院搬送で活躍した全民救

東日本大震災で負傷した人々は自衛隊のヘリコプターなどに救助されると機能している近場の病院に次々運ばれた。負傷者は応急処置を施された程度で順次、被災していない県外の病院へ移されていったが、このときの転院搬送を担ったのは、民間の医療搬送事業者だった。

本来の営業区域は県単位だが、このときばかりは違法を承知で搬送を引き受けた。一般社団法人全民救患者搬送協会(野口良一会長)の会員事業者らも活躍した。

いま、その全民救が行政に医療搬送事業者としての明確な位置づけを求めている。

同協会によると、①サイレンを鳴らして緊急走行を許されている消防庁などの「緊急搬送」②緊急性は無いが、点滴・酸素・吸引・モニター監視など医療処置継続管理を必要とする傷病者を対象とした「医療搬送」③高齢者や障害者などの移動を支える「福祉輸送」に分類される。

問題なのは、「医療搬送」と「福祉輸送」の線引が曖昧なことだ。看護師などが乗務し、相応の医療資器材を搭載した車両で搬送する「医療搬送」と、ユニバーサルデザインタクシーに代表される「福祉輸送」とでは、その役割や能力が異なるにも関わらず、「福祉輸送」の枠内で同列に扱われている。

管轄が総務省消防庁、国土交通省、厚生労働省の3省にまたがっていることも、全民救の陳情活動を難しくしている。

民間の医療搬送車が単なる「福祉輸送」でないことは東北の大震災での活躍ぶりを見てもわかる。そろそろ「医療搬送サービス」としての位置づけを明確化するときに来ている。

東京交通新聞-医療搬送サービス位置づけ明確化を