民間救急サービスとは
救急医療の現状と民間救急サービスの必要性について全民救の考えをまとめました。
全民救からの提案
救命を主眼とし、傷病者の観察及び必要な応急処置を行い、速やかに適応医療機関に搬送するのが消防救急の活動の原則であり、これに対し、「民間の患者搬送事業」は、その指導基準に基づき、緊急性の少ない患者様の入退院、通院、転院あるいは社会福祉施設への送迎等、様々な移送ニーズに対応しております。
緊急を必要としない転院搬送等であっても、対象者は患者様(疾患をもった者)であり、搬送途上における様態の悪化・急変に関しては常に危惧しているところです。民間の患者搬送サービスは、法律上サイレンや赤色灯を使用しての緊急走行も許されず、病院とのホットラインもありません。車内でおきている緊急事態を周囲の車両に知らせる術もありません。
当協会では、このような状況を常に想定し、十分な観察のもとに生命の危機を察知した際の行動として、唯一の手段である消防救急への乗せ替え要請を行うことになっております。それ故消防機関との連携は重要であり密に行うための訓練も欠かせません。そこで全民救では以下の5つの提案をしたいと思います。
乗務員MAST資格の公資格化
全民救ではすでにMAST(医療搬送サービス技術員)養成講習を全国で開催しています。民間救急車には一般的に救急救命士や看護師などの資格を持っている者が乗務しますが、民間救急サービスを提供する者としてより高いスキルを得、利用者に安心して民間救急車をご利用いただくためのカリキュラムです。
全民救では、このMAST(マスト)を医療搬送乗務員の公の資格として定着させることを提案します。
救急救命士への法整備
救急救命士を民間救急車の乗務員として採用している事業者が目立つようになりました。搬送の手法や医療関連知識を徹底的に教育された人材なので、その需要は今後も増え続けると思われます。ところが、「新卒の救急救命士は扱いにくい」という指摘もあります。新卒の救急救命士は、「救命を主眼とした活動」という教育を受けているため、民間救急の搬送業務には物足りなさを感じるようなのです。
実は、消防救急救命士と違い、民間の救急救命士には医療処置は許されていません。一般市民と同じく、BLS(一時救命処置)のみなのです。せっかく身に付けた専門知識はあっても実際に発揮することができず、事実上、宝の持ち腐れ状態になっているのです。
消防救急救命士と同等の処置範囲とまではいかずとも、せめて消防救急の標準過程程度は実施できるような法整備を提案します。
緊急時の救急走行
消防庁は民間救急(民間患者等搬送事業)を緊急性の少ない患者等の入退院、通院、転院あるいは社会福祉施設への送迎等
としていますが、搬送しているのは「患者」なのです。
実際に一刻を争う事態という場面もあります。消防救急への乗せかえの余裕もなくパトカーに先導していただいたこと、急激な意識レベルのダウン、そしてその直後にCPA(心肺機能停止)、CPR(心肺蘇生法)を実施し消防救急への乗せかえを待ったことなどなど。このような現場体験から、直近の医療機関へ緊急走行ができたらと痛切に思うのです。
現在、民間救急車にはサイレンや赤色警告等などの搭載は一切許可されていません。車内で起こっている状況など、周囲の車両には全く分からないのです。
搬送中、生命の危機が迫った場合等には、緊急走行が許されるようになることを提案します。
民間救急車の統一化・規格化
全民救では、タイプ・メディカル、タイプ・ナーシング、タイプ・ケアの3タイプの車両を設定し、利用者の状況にあわせた民間救急車両でのサービス提供を行っています。消防救急は法律により車両も資器材も全国で統一されていますが、民間救急車には「民間患者等搬送事業認定基準」はあるものの、法律によって統一されているわけではないからです。
多くの民間救急車は現在、消防救急と全く同じ車両を使用しています。ですが、民間救急は救命を主眼しているわけではなく、緊急性の低い患者を安全に搬送するサービスで、消防救急とは根本的に異なる搬送なのです。
民間救急サービスの搬送活動に適した車両を作り上げていくため、仮装メーカーや関係機関の皆様の協力と理解、そして助言をお願いしたいと考えています。
保険制度の導入と損保商品の開発
日本では無料が当たり前の救急車ですが、海外では大半の都市において有料化されています。料金は1回の出動でいくらとか、距離や時間などによって決められています。
米国シアトルの民間救急機関「AMR」の場合、料金は通常400ドル(約40,000円強)とかなり高額ですが、保険加入者は保険が適用されます。
日本でも、東京消防庁による民間救急制度の導入や公的救急の有料化などの議論は聞こえてくるようになりましたが、保険制度の導入や新たな損保商品の開発も早々に着手してほしいと願います。






