消防救急対応外の医療処置継続管理を必要とする傷病者とは

【例1】

旅先などで、脳疾患や心疾患等を発症、或いは交通事故等により受傷し生命の危機に陥ったが、救命治療により一命を取りとめた。
その後、ある程度病状が安定したので地元の病院に転院させたいが、高流量酸素・気道吸引・点滴・心電計モニター等の監視・患部固定や牽引・人工呼吸器の使用等、様々な医療処置を継続しながらの移動のため、相応の設備を有する車両及び看護師等の同乗が必要となります。
<緊急を必要としないことから相当の理由がない限り消防救急の対応外となります>

【例2】

海外での病気や怪我により医療処置を継続しながら帰国する重傷病者には搬送元の医師又は看護師が同行してきます。
空港では制限区域に侵入するための諸検査等から待機時間も長く、県外移動ともなると消防救急対応外の可能性が高いため、事前に医療搬送車の待機要請となります。
逆に、国内から諸外国への傷病者搬送も同様であり、2020年開催決定のオリンピック・パラリンピックに向けた国内の医療搬送サービスの充実は喫緊の取り組みでもあります。

【例3】

終末期を在宅で迎えることを望む患者、そしてその望みを叶えさせたい家族の思いを一心に在宅緩和医療の充実を求め、日本初の緊急走行ができるホスピスカーを走らせた栃木県の渡辺邦彦先生は、終末期の患者が自宅で最終章を迎えることは人の尊厳を重んじる大切な家族愛であり、残された僅かな時間をも襲う病魔の痛みや苦しみを一刻も早く緩和してあげたいという医師の心情を著書に記しました。
終末期患者を在宅に移行し緩和医療の下に療養するためには、医療機関からご自宅への移動が必要となります。
しかし、その搬送先が自宅であり緊急を必要としない予約搬送であることから消防救急の対応は期待できません。

【例4】

人工呼吸器を使用し生命の維持を強いられている重症神経難病等の患者の家族は、呼吸器の管理や気道吸引等々全ての介護を24時間行っており、心身ともに疲れ果てその限界をも訴えます。
この様な介護者の救いとなっているのが「介護休暇目的の入院(レスパイト入院)」であり、入院期間は一週間程で再度自宅に戻ります。
呼吸器を使用した患者の搬送には、吸引器や酸素等の資機材を搭載した車両が必要で、その途上における機器の不具合や気道の閉塞等々は常に危惧することから看護師等が乗務します。
レスパイト入退院の他にも呼吸器を使用した患者の搬送は、中・長距離共に増加しています。
<この様な重病者の搬送も緊急を必要としないため消防救急対応外となっています>

【例5】

平成23年3月、九州新幹線が全面開通となり、その車両には医師や看護師の同行を条件に酸素ボンベや医療機器の持ち込みを認める医療搬送ユニットが設けられ、ドクタートレインの名称で広域医療搬送支援を開始しました。
本協会では、平成17年から新幹線の多目的室や飛行機のストレッチャースペース及び船舶を利用した、国内外の広域連携医療搬送を既に確立させ、搬送時間の短縮及び費用負担の軽減並びに傷病者本人の身体的負担の軽減を現実のものとしてきました。
広域連携医療搬送では、病院から(駅・空港・港湾)と(空港・駅・港湾)から病院迄は車両による移動となりますが、緊急を要する事案外は民間の医療搬送車が対応しています。

【例6】

全国各地で行われている病院移転に伴う入院患者の搬送に際しては、多数の医療搬送車を必要とすることから、消防救急車や病院救急車の他に「民間の医療搬送車」が要請に応じ対応しています。

【例7】

平成23年3月11日、東日本を襲った大震災当時、自衛隊や消防及び病院救急車によって次々と機能している医療機関に搬送された傷病者は、応急処置を施された程度で他県の受け入れ病院に転院を強いられ、酸素・吸引・点滴等々の医療処置をした移動支援を提供したのも民間の医療搬送車でした。

【その他】

精神保健福祉法23条から26条に関する指定医療機関への搬送や、感染症患者の搬送は、国や県との契約により民間の医療搬送車が対応しています。